C型肝炎対策について(平成25年)

北杜市 市民公開健康講座

あっと驚く肝炎健康講座〜着実に進む新たな薬剤開発〜

日時:平成25年11月16日(土) 午後2時〜午後4時
会場:高根保健センター
講演:午後2時25分〜3時45分まで

東京大学名誉教授
地方独立行政法人山梨県立病院機構 理事長
小 俣 政 男 おまた まさお

千葉大学医学部 昭和45年卒) 消化器内科学
40年間、米国・千葉大・東大消化器内科で臨床・教育・研究に従事、数多くの俊英を世に送り出す。

来場者は約71名。北杜肝友会会員や、町内回覧板にて周知を行ったので肝炎患者やその家族、他一般の市民等幅広く来場された。
北杜市内や甲府市,甲斐市,韮崎市などからも参加された。

国 に 意 見 書 を 提 出( 平 成 2 5 年 2 月 定 例 県 議 会 )

 私、浅川力三は、平成15年の初当選以来、県議会において肝炎対策を訴え続け、本年2月の県議会において「肝炎・肝がん対策についての5項目」を柱とする意見書を決議し、国に提出いたしました。
B型肝炎・C型肝炎患者の救済に関する意見書
 我が国には、B型肝炎150万人、C型肝炎200万人ほどの感染者・患者がいると推定され、その大半は、集団予防接種や治療時の注射針・筒の使い回し、輸血、血液製剤の投与などの医療行為による感染が原因の医原病とされる。このような感染被害の拡大を招いたことに対する「国の責任」と、肝炎患者を救済する責務を明記した肝炎対策基本法が平成22年1月に施行された。しかし、今なお感染被害は償われず、多くの患者が肝炎の進行と高い医療費負担、差別などに苦しめられ、毎日約120人もの肝炎患者が亡くなっている。「特定フィブリノゲン製剤及び特定血液凝固第Ⅸ因子製剤によるC型肝炎感染被害者を救済するための給付金の支給に関する特別措置法」、「特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法」が成立し、裁判を通じて補償・救済される仕組みができたが、カルテや明確な証明が必要なため、裁判によって救済されるのはほんの一握りにすぎない。C型肝炎患者の9割以上を占める注射器の使い回しや輸血が原因の患者、母子感染ではないとの証明などができないB型肝炎患者の大半には補償・救済の仕組みがなく、肝炎治療費そのものへの支援策がないため、医療費が払えずに治療を断念せざるを得ず、重症化し命の危険にさらされる患者も少なくない。
 このように現行法によって法的救済、補償を受けられる患者はごく一部であり、注射器の使い回し、輸血、薬害によるB型・C型肝炎患者に対して、国が感染被害を償い、いつでも、どこでも安心して治療を続けられるために、肝炎治療と命を支える公的支援制度を確立することが求められている。よって、国においては、肝炎対策基本法に基づいて、医原病によるB型・C型肝炎患者を救済するため、下記の事項について速やかに必要な措置を講じるよう強く要望する。

1 肝炎対策基本法に基づき患者救済に必要な法整備、予算化を進め、B型・C型肝炎患者が適正な救済を受けられることを旨とした救済策を実施すること。
2 肝炎治療薬、検査費、入院費への助成を初め、肝炎治療費への公的支援制度を確立するとともに、肝硬変、肝がん患者への障害者手帳の交付基準を改善し、肝炎対策基本法が定めたB型・C型肝炎による肝硬変、肝がん患者への特別な支援策を講じること。
3 治療体制・治療環境の整備、治療薬・治療法の開発、治験の迅速化などを図ること。
4 肝炎ウイルスの未検査者、ウイルス陽性者の未治療者の実態を調査し、早期発見・早期治療につなげる施策を講じるとともに、B型・C型肝炎への偏見差別の解消、薬害の根絶を図ること。
5 医原病であるB型・C型肝炎による死亡者には一時金、感染者・患者には健康管理手当・支援金を支給する法制度の確立によって、感染被害が償われ、持続的に治療を続けられる環境を整備すること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成25年3月22日
山 梨 県 議 会 議 長 浅 川 力 三

本 会 議 で 代 表 質 問(平 成 2 5 年 6 月 定 例 県 議 会)

戦後最長となる約2年間の県議会議長職を離れ、久々となる代表質問を行いました。地元の皆様方のご指導ご支援を胸に、肝炎対策の質問につきましては、特に気合が入りました。
質 問 浅 川 力 三  ~代表質問(平成25年6月11日)から抜粋

 知事与党の自民党・県民クラブを代表して、質問いたします。
肝炎・肝がん対策について伺います。
 わが国最大の感染症である肝炎対策につきましては、平成22年に、国により肝炎対策基本法が施行され、肝炎患者やその関係者にとって長年の悲願が成就しました。
 さらに、昨年4月に、山梨県議会初となる議員提案による政策条例である山梨県がん対策推進条例が施行され、本県では肝がんの七十五歳未満の死亡率が東日本で一番高いことから、肝炎・肝がん対策の推進が個別のがん対策として規定されました。
 このことは、不安を抱えながら日々を過ごす患者にとって大きな希望の光をもたらすものであり、肝炎対策を議員活動のライフワークとして、一貫して患者の精神的・経済的支援の重要性を訴え続けてきた私にとっても、感慨ひとしおの感があります。
 私は、平成15年4月に初当選以来、議会において、C型肝炎ウイルスの検診事業や医療給付の支援、インターフェロン治療など、一貫して肝炎対策について訴え続けてまいりました。
 その間、平成18年には、患者会である北杜肝友会が発足し、会員は今や百人に達しようとしており、患者間だけでなく、行政や住民との理解を進める橋渡しを続けています。
 肝炎は自覚症状がなく、適切な治療を行わないまま放置すると、肝硬変や肝がんといった、より重篤な疾病に進行すると言われており、いかに早く感染者や患者を発見し、治療に結びつけていくかがとても重要になります。
横内知事は、平成19年に知事に就任するやいなや、肝疾患コーディネーターを活用して、地域における検査受診の促進、早期治療に結びつける取組など、身近なところでの相談環境の整備や保健指導体制の充実に努めてきました。
 昨年度は新たな取組として、山梨学院短期大学などと連携して、肝疾患レシピの開発や市町村の肝がん検診における肝臓硬度測定検査の促進を図るため、県内の検診機関を対象に測定機器の導入に対し助成を行いました。
 特に、市町村の検診における肝臓硬度測定検査は全国でも初の取組であり、この検査方法の普及による検診の充実には大きな期待を寄せるものであります。
 そこで、この検査機器の整備や活用状況と、導入の効果について伺います。
 また、肝炎患者の大半は、集団予防接種や治療時の注射器の使い回し、輸血、血液製剤の投与などの医療行為による感染が原因であると言われております。
 肝炎対策基本法では、このような感染被害の拡大を招いたことに対する国の責任と、肝炎患者を救済する責務が明記されましたが、現行法によって法的救済や補償を受けられる患者はごく一部というのが現状であります。
 県議会では、このような現状にかんがみ、肝炎対策基本法に基づき、患者救済に必要な法整備、予算化を進め、適正な救済策を実施すること。肝炎治療費への公的支援制度を確立するとともに、障害者手帳の交付基準を改善し、法が定めた患者への特別な支援策を講じること。治療薬・治療法の開発や治験の迅速化などを図ること。肝炎の早期発見・早期治療につなげる施策及び偏見差別の解消と薬害の根絶を図ること。さらに、医療行為による感染が原因のB型・C型肝炎による死亡者には一時金、感染者・患者には健康管理手当支援金を支給する法制度を確立すること、以上五本の柱からなる意見書をさきの議会で議決し、国に提出したところであります。

そこで、これら肝炎患者の救済に対し、県は今後どのように対応していくのか伺います。

答弁1/横内正明知事 答弁内容

 浅川議員の肝臓硬度測定検査機器の整備や活用状況と導入効果についてのご質問でございます。
 本県では、議員初め議会の熱意ある活動を踏まえまして、肝炎対策を総合的かつ計画的に推進するために、肝がんの七十五歳未満の死亡率を全国平均までに改善するということを目標にいたしました肝炎対策推進計画昨年七月に策定いたしまして、肝炎ウイルス検査の受検促進とか、治療が必要な方々への保健指導の充実とか肝疾患診療体制の整備などの施策を進めているところであります。
 この計画では、市町村への肝臓硬度測定検査の導入促進を主要な取り組みの一つに掲げておりまして、昨年度、市町村の集団肝がん検診を実施する実施機関三団体に対しまして、機器の整備への助成を行ったところであります。現時点において、富士吉田市、早川町、富士川町の一市二町が、本年度の実施を予定していると聞いております。
 この肝臓硬度測定検査は、簡易かつ短時間で肝臓の繊維化、すなはち肝臓のかたさを数値として確認できるために、市町村検診に導入することによりまして、肝がんの前段階となる肝硬変の危険群をより早期に把握し、保健指導や精密検査、治療にとつなげていくことが可能になるわけであります。
 特にウイルス性肝炎につきましては、肝臓のかたさと肝がんの発症リスクとの関連が明らかになっておりますので、肝疾患診療連携拠点病院である山梨大学医学部の付属病院と連携を図りながら、当検査の有効性を啓発するなど、市町村検診の導入を促進してまいりたいと考えております。

答弁2/県福祉保健部長 答弁内容

 浅川議員の肝炎患者の救済に対する県の対応こついてのご質問にお答えをいたします

 浅川議員を初め、議会の議員の皆様が心血を注がれた「B型肝炎・C型肝炎患者の救済に関する意見書」が、二月定例県議会の決議を経て、国に提出されたところでございます。
 B型肝炎・C型肝炎に係るウイルスへの感染については、自覚症状が乏しいため、発見のおくれ、肝炎ウイルスや肝炎に対する周囲の理解不足、さらに、肝炎に感染しながら、いまだ救済措置を受けられない方が存在していることなど、幾つかの課題があることを承知しております。県としましても、これらの現状にかんがみ、国に対しまして意見書の内容を強く要望してまいります。
一方、本県においては、これまで肝炎の治療に高額な費用を要するインターフェロン治療費等の助成を初め、全国に先駆けた肝疾患コーディネーターの養成や肝疾患診療拠点病院を中心とした専門医療機関による医療ネットワークの構築など、肝炎患者に対する支援の充実に努めてきたところであります。
 今後におきましても、肝炎に関する正しい知識の普及、患者の方々に対する相談支援の充実や適切な医療の提供など、肝炎対策のなお一層の推進に取り組んでまいります。
 以上でございます。

C型肝炎対策について(平成22年)

C型肝炎対策

C型肝炎対策は、患者さんの命がかかった政策課題です。
これからも、議員活動のライフワークとしてしっかり取り組んでいきます。

患者、家族との出会い

 平成15年、旧小淵沢町にお住まいの女性から電話をいただいたのが、私とC型肝炎の患者、家族の皆さんとの関わりの発端です。彼女のご主人は長野県富士見町の病院で療養していまして、長野県や東京都では医療費を助成してくれるのに、山梨県にはその制度がありません、とのことでした。

 C型肝炎の治療にはインターフェロンの投与が効果的なのですが、医療費が高額になること、長期間の入院や自宅療養が必要となり仕事との両立が難しいこと、発熱、嘔吐などの副作用を伴うことがあり、患者、家族の皆さんには経済的、精神的負担が重くのしかかっていることを知り、公的支援の必要性を痛感したところです。

 また、保健福祉事務所職員の協力を得て、C型肝炎ウイルス検査の状況を調査したところ、北杜市の感染率が非常に高いこと、特に旧高根町や旧明野村にキャリア(C型肝炎ウイルスに感染している人)が多いことが判明しました。

北杜肝友会

 患者・家族会は、会員が相互に励まし合い、治療へのモチベーションを高めるとともに、患者・家族の声を集約して行政へ届けることが期待される組織です。

C型肝炎についても、プライバシーの問題など高いハードルがありましたが、医療関係者、行政関係者、そして、なにより当事者の地道な努力が実を結び、平成18年8月、約30人のメンバーにより「北杜肝友会」が発足しました。
そして、同会では、肝炎の正しい理解を進めるセミナーや会員相互の親睦を深める交流ツアーを開催するとともに、山梨県及び北杜市の担当課へ患者・家族の意見を伝えるなど活発に活動して、現在の会員数は100人に達しようとしています。

私も、発足時から相談役として会の運営に関わり、辛い治療に立ち向かう会員を勇気づけ、そして、肝炎対策基本法の制定には会員全員と喜びを分かち合いました。

患者・家族の皆さんはもちろんのこと、同会の活動を応援していただける方でしたらどなたでも結構です。入会をお待ちしています。

県議会での議論

 私は、平成15年4月の初当選以来、代表質問、一般質問に登壇する度にC型肝炎対策をとりあげて、県執行部と議論を重ねてきました。

 当初は、患者の状況は十分に分析できていない、そして、医療費助成は困難であるとしていた県の対応が、現在では、病院間の医療ネットワークを整備して、医療費助成や肝炎ウイルスの無料検査を実施するなどと大きく前進していまして、隔世の感がします。横内知事の英断に敬意を表する次第です。
今後も、肝炎対策基本法の制定を契機に、なお一層の施策の充実を期待します。

【質疑の要旨】

○平成15年9月定例会 関連質問(H15.10.1)

北巨摩地域は、全県に比較してC型肝炎の感染率が高いと聞いているが、県ではそのような状況を把握しているのか。
 また、C型肝炎の早期発見・早期治療をするためには、C型肝炎ウイルスの検診事業が重要である。県では、受診率の向上のために具体的にどのように取り組むのか。

(福祉保健部長 答弁)
ウイルス肝炎については、平成14年から住民健診を実施しているという状況であり、まだ詳細な調査分析ができる状況にない。今後、この検診は5年間をかけて実施していく。
 また、市町村が行うC型肝炎ウイルス検診や健康相談、健康教育に対して助成するとともに、市町村や医療機関と連携し、ウイルス肝炎についての知識の普及啓発などを行って、受診率の向上に努めている。

○平成16年2月定例会 一般質問(H16.3.8)

 インターフェロンの投与には、長期入院と退院後も数カ月の自宅療養を余儀なくされるとともに、医療費も多額の負担となり、多くの患者の家計を圧迫している。また、副作用による発熱、嘔吐等の苦しさは筆舌しがたく、本人はもとより、家族が受ける精神的苦痛は、第三者には想像だにできない。
 県は、C型肝炎患者に対し医療費給付の支援制度をどのように考えているのか、また、患者の会の設立などソフト面の支援についてどのように取り組んでいくのか。

(福祉保健部長 答弁)
C型肝炎の医療費は、高額療養費制度により医療費の負担が軽減されているところであり、C型肝炎の患者に対し医療費給付の特別な制度を設けることは難しいと考えている。県では、今後も、患者や家族からの相談に応じるとともに、県民に対しC型肝炎に関する正しい知識の普及啓発に努めていく。

○平成18年2月定例会 一般質問(H18.3.7)

C型肝炎ウイルス検査の受診状況と、未受診者への受診勧奨など今後のC型肝炎対策をどのように進めていくのか。
 また、長野県では患者の会を組織したり、医療費給付などの支援もあると聞くが、本県では、患者や家族への支援について、どのように取り組んでいくのか。

(福祉保健部長 答弁)
市町村、医療機関との連携を図りながら、肝炎ウイルス検査の受診勧奨を一層進めていく。
 また、C型肝炎について、国では特別な医療費補助を行うことは困難であるとしており、県として医療費給付制度を設けることは難しいと考えるが、患者、家族の継続的なケアや精神的な支えが必要であり、医療機関をはじめ身近な相談の場である保健所、市町村等において相談にこたえ、患者やその家族が地域で安心して生活することができるよう、健康上の不安の解消に努めていく。

○平成18年9月定例会 一般質問(H18.10.4)

 C型肝炎は、早期に感染を発見し、医療につなげることが重要であり、県はどのような取り組みを行っているのか。
 また、患者に対する支援のあり方は国家的な問題であり、県は、国に対してどのような働きかけを行っているのか。そして、県として、医療費に対する助成制度の検討も含め、患者や家族をどのように支援していくのか。

(知事 答弁)
 本年4月から全保健所において予約制による匿名・無料での相談とウイルス検査を実施している。
 一方で、県では、平成17年度からC型肝炎ウイルスによる慢性肝炎患者救済制度の創設を国に要望している。国では、特別な医療費助成を行うことは困難としており、県としても、助成制度を新たに設けることは難しいと考える。
保健所での健康相談に加え、患者会等の要望に応じ、保健所職員による健康講座を実施するなど、相談や必要な情報提供を行う機会を充実させる。

○平成20年2月定例会 一般質問(H20.2.27)

 県は、今年度、北杜市で、肝炎の早期発見・早期受診のためのモデル事業を展開している。北杜市以外にも感染率の高い地域があり、モデル事業の成果をこうした地域へも広げていくことが重要である。医療費助成への対応も含め、県は、今後どのように感染者や患者を発見し、治療に結びつけていくのか。

(知事 答弁)
本年度、県では「肝炎サポートネットワーク推進事業」として、北杜市において肝炎保健指導モデル事業を実施すると同時に、肝疾患診療連携拠点病院と専門医療機関を中心とする医療ネットワークづくりを進めている。また明年度は、インターフェロン治療を行う患者に治療費の一部を助成する肝炎患者インターフェロン治療費助成事業と、肝炎ウイルスの無料検査を拡大する緊急肝炎ウイルス検査事業を実施することとしている。
 北杜市でのモデル事業の成果を踏まえ、他の市町村が活用できる保健指導モデルを策定して、県下全市町村へ導入を働きかけていく。

○平成20年2月定例会 予算特別委員会総括審査(H20.3.17)

  ~ 一問一答方式 ~
(質問)
肝炎ウイルスの無料検査はどの医療機関で受けることができるのか。

(福祉保健部長 答弁)
無料検査の委託先は、原則として、内科、消化器科などの肝炎の治療ができる医療機関を予定しており、現在、医師会等を通じて募集している。保健所の無料検査に加え、大幅に検査の機会が増える。

(質問)
インターフェロン治療を行う方であれば、だれでも医療費助成を受けられるのか。

(福祉保健部長 答弁)
対象となるのは、B型・C型肝炎ウイルスの除去を目的としたインターフェロン治療で、保険が適用される方である。

(質問)
インターフェロン治療は月に10万円近くかかる場合もあり、県がインターフェロン治療に対し助成を行うというのは、患者にとって大きな負担軽減になる。所得に応じた自己負担額が設定されるということだが、その内容はどのようなものか。

(福祉保健部長 答弁)
患者の世帯の市町村民税所得割の課税年額に応じて、課税額が6万5000円未満の場合は1万円、23万5,000円以上の場合は5万円、その中間の場合は3万円の自己負担を設定する。

(質問)
県は、今年度から北杜市においてモデル事業に取り組んでいる。住民を対象としたセミナーには、毎回100人を超える多くの方が集まり、熱心に講師の話を聞いていた。県では北杜市のモデル事業の成果を、どのようにして他の市町村に普及させていくのか。

(福祉保健部長 答弁)
来年度、成果を検証して、他の市町村でも活用しやすい保健指導モデルをつくる。そして、このモデルについて、保健所ごとに説明会を開催するなど、市町村に対して導入を強く働きかけていく。

(質問)
私はこのモデル事業が、先ほどの無料検査や治療費助成事業が効果を発揮するかどうかの鍵を握っている。ぜひこのモデル事業を成功させ、県全体に広げていってほしいと思う。
平成19年度からこのようなモデル事業をはじめとする県の肝炎対策がスタートしたのも、私は、ひとえに横内知事の決断があったからこそと思っている。私も肝炎患者のためにこれからも努力していく。知事にも、引き続きこの肝炎対策に力を入れていただきたいと思う。

(知事 答弁)
県では、肝炎対策は県民の生命と健康を守る上で大変に重要な課題だと考えている。
来年度は、無料検査の拡大とインターフェロン治療に対する助成措置を講ずる。同時に、北杜市において実施しているモデル事業、これは議員の長年の御努力を受けて実施しているものであるが、その成果も出てきているので、これを全県に広げて、この肝炎対策に対する施策をさらに充実をしていきたいと考えている。

○平成20年9月定例会 一般質問(H20.10.2)

 本年度開始された緊急肝炎ウイルス検査事業及び肝炎患者インターフェロン治療助成事業の直近の状況はどうか。そして、利用が低調との報道があったが、より多くの感染者・患者に利用していただくための県の対応策はどうか。
 また、昨年度実施した北杜市の肝炎保健指導モデル事業は、感染率の高い他地域に今後どのように生かすのか。

(福祉保健部長 答弁)
緊急肝炎ウイルス検査事業では、234の医療機関と契約し8月末で130名の方に受診券を交付した。また、肝炎患者インターフェロン治療助成事業でも、218名を助成対象として認定した。
 北杜市で行ったモデル事業では、地区セミナーの開催、肝炎手帳の交付などを行った。受診経験のない患者・感染者を治療につなぐことができた、かかりつけ医と肝炎専門医療機関との連携が図られたなどの評価をいただいたところである。今後は、この成果をもとに、保健指導推奨モデルを策定して、感染率の高い市町村を中心に、本モデルの導入を働きかけていく。

○平成21年2月定例会一般質問(H21.2.26)

 インターフェロン治療が多くの患者に効果が期待できることや、治療費の一部を助成される制度が創設されたことが十分に認知されておらず、全国的な共通の課題であるともいえる。
 県は、多くの患者・感染者の早期治療を促進するため、インターフェロン治療効果の啓発や助成制度の活用についてどのように取り組んでいくのか。

(知事 答弁)
 明年度は、肝炎の専門医療機関の協力を得て、治療中の患者から治療の動機、内容、効果などを把握することとして、このインターフェロン治療助成事業の一層の普及啓発に役立てていきたいと考えている。
 また、肝炎対策に実際に携わる人材の資質向上のために、明年度、全国で初めて、市町村の保健師等を対象として、肝炎、肝がん等の最新の学術的な知見を習得した「肝疾患コーディネーター」を育成し、より一層、効果的な保健指導が行われるよう取り組んでいく。

○平成22年2月定例会代表質問(H22.2.24)

 我が国最大の感染症である肝炎について、関係者の悲願であった肝炎対策基本法が制定された。肝炎対策を議員活動のライフワークとして、一貫して患者への精神的・経済的支援の重要性を訴え続けてきた私としては大変喜ばしい限りであり、今回の法制定を契機に、今後のさらなる施策展開につながっていくよう、一層取り組みを強めてまいりたいと、決意を新たにしている。
 肝炎対策基本法の整備に伴い、新たな肝炎対策が実施されることとなるが、これまでの県の取り組みとその成果、今後の新たな施策について所見を伺う。

(知事 答弁)
 議員の御指摘のように、本県の肝炎の感染率は全国でも高いことから、肝炎対策を県政の重要課題の一つとして積極的に取り組んできた。
 肝炎対策基本法により県は、予防、早期発見のための施策や、患者の経済負担の軽減策を講ずることなどが求められている。このため、肝疾患コーディネーターを活用して、地域において感染者の早期発見、早期治療に結びつけるとともに、肝炎保健指導事業導入ガイドラインに基づく保健指導体制の普及に努めていく。
  また、インターフェロン治療費助成事業については、明年度から、自己負担限度額が月額5万円の方は2万円、3万円の方は1万円にというふうに引き下げるとともに、1回の治療で十分な効果がなかった場合には、利用回数を2回に拡大することにしている。

今後の展望、提言

 行政によるC型肝炎対策は格段に前進しました。しかし、次の点が実現されれば、さらに充実したものになると考えています。

(1)医療費助成

    C型肝炎は輸血や注射器の連続使用などでウイルスに感染したものであり、国にはこれを防止する責任があったにもかかわらず、それを果たしてこなかったことが主な原因です。
現在の医療費助成制度は、「患者が適切な医療を受けやすいよう経済的負担を軽減する。」との観点から構築されていますが、このように多くの感染者を発生させた責任は国にあります。
● 自己負担限度額を撤廃して、全額を公費負担すること。
● 実施期間を7年間に限定せず、恒久的な制度とすること。
● 症状の進行を抑える肝庇護療法を対象に加えること。

(2)治療を受けやすい環境の整備

 C型肝炎の治療は、週数回の通院が必要となり、激しい副作用を伴うことも少なくありません。したがって、治療と就業を両立させることは相当困難です。
● 地域の診療体制を整備する、また、企業に対して勤務時間等について柔軟な対応を求めるなど、患者が安心して治療できる環境の整備に努めること。

(3)正しい理解の促進

 C型肝炎は、早期発見と早期治療が重要です。しかし、肝臓は沈黙の臓器といわれるように自覚症状がないため、肝炎検査を受けない、また、肝炎と診断されても発症するまで治療を受けないという方が多く見受けられます。肝炎は、適切な治療を行わないまま放置すると慢性化し、肝硬変、肝がんといった重篤な疾病となるおそれがあります。
● インターネット、広報誌等あらゆる媒体を介して、C型肝炎の正しい理解の促進を図ること。
● 患者の治療体験に基づく情報は、これから治療を受けようとする者にとって非常に貴重であり、こうした情報の発信に取り組む患者・家族会を支援すること。